日本画?「日本」という言葉がつく割にはちょっと遠い世界な感じがしないでもないというような声もちらほらあり、今回は日本画についてもっと身近に感じてもらえたらということで、Saibi日本画科講師の北野先生にいろいろ聞いてみました。
(北野先生の着彩)
●日本画に興味を持ったきっかけを教えてください。
高校1年から講習会を中心に予備校に通い始めて、最初は油絵か日本画で迷っていました。
高校2年の時に予備校のパンフレットを見ていて、水彩画の魅力に惹かれて日本画に決めました。
●日本画のどこに魅力的を感じましたか?
とにかく水彩画がきれいだと思いました。きれいなんです。
●日本画の受験の特徴を教えてください。
私は芸大しか受けていないので芸大の話になりますが、芸大の入試は他の大学と比べて試験時間が長いので、形の正確性や完成度などのクオリティの高さが求められます。
しっかり観察して描いていくことの繰り返しが大切です。
それと、これがすごく大切なんですが絵を描くことが好きな人は日本画向きだと思います。
特に芸大日本画は、大学では絵しか描きません。
毎日観察の繰り返しなので、ものの見方が以前と比べて変わってくるところも面白い点で、以前飲食店でアルバイトしていた時があって、その時「このトマトが美しい」とかそんなことを私が言ったら、他のアルバイトの人がポカンとした顔をしていました。
絵を描き続けていると、観察の物差しが普通の人と違ってくるのかもしれません。
●大学では何を学ぶのですか?
受験では水彩ですが、大学では岩絵の具や膠を使って、日本画の技法を本格的に学んでいきます。
だいたい月に1枚ぐらいのペースで描いていく感じです。
予備校時代の2日で1枚とかのペースとは全然違います。
学年が進むと、主題を自分で決めていくことになるので、取材をしたり、考えたりですぐに本画に取り掛かるわけではないので、1カ月に1枚でも結構ハードです。
1,2年次は和紙や筆の作り方、金箔の貼り方など、画材や技法の演習的な授業も多くありますし、模写の授業もあります。
先生方は全員第一線で活躍されている画家さんなので、講評会の緊張感はすごいです。
●日本画の魅力って何だと思いますか?
画材がとにかく魅力的です。
少し専門的な話になりますが、顔料を水で溶かした膠に混ぜ、自分の手を使って練り、溶いていきます。
粒子の大きさの違い、混色など、市販のチューブの絵具では味わえない、絵具を1からつくりながら制作していくところが日本画の独特なところであり、いちばんの魅力だと私は感じます。
自分の手で作っていくので、絵を描いていくことや美術というものが自分と一体になっていくような感覚があります。
●これから水彩画を始めようと思っている人や日本画科に進もうと思っている人にアドバイスなどありますか?
もしかしたら「日本画」というと取っつきづらいイメージもあるかもしれませんが、絵を描くことが好きな人には日本画科に来てほしいなと思います。
迷っている人も基礎からしっかりと教えるので、是非、水彩画にもチャレンジしてみてください。
モチーフを味わうように観察して、楽しんで描いていってほしいと思います。
(北野先生の石膏デッサン ※入試再現作品)
北野先生、ありがとうございました。
みなさん、どうだったでしょうか?
日本画についてもっと知りたくなってきましたね!
芸大や美大の文化祭や卒業制作展などで、学生の作品を見たり、日本画家の展覧会に行ってみたりして、生の日本画を観てみるのもいいかもしれません!
サイビでも体験授業や進路相談がありますので、興味のある方はお問い合わせください。